これから注目されるであろう中央アジアの資源とは

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世界最大の大陸であるユーラシア大陸の中央に位置し、東のアジアと西のヨーロッパの結節点として発展していた中央アジアは、20世紀初頭に成立したソビエト連邦(旧ソ連)の構成国として取り込まれたため、その後の成長が滞ることとなります。
しかし1991年にソ連が崩壊したことにより、旧ソ連構成国は国家として独立することとなり、今後の有力な投資対象として中央アジアは注目を集めています。中央アジア諸国は今後の成長期待だけではなく、豊富なエネルギー資源・鉱物資源の埋蔵が確実視されているため、資源供給国としても世界から注目を集めている地域の1つです。
今回はそんな中央アジア諸国の特徴を詳しく見ていきましょう。

旧ソ連構成国から成り立つ中央アジア

この地域は,古来からシルクロードを介して文化交流,物資の往来が盛んで,現在もロシア,中国,アフガニスタン,イランなどと国境を接し,欧州とアジア,中東地域を結ぶ十字路として地政学的に重要な地域と考えられています。中央アジア5か国はいずれもイスラム教(スンニ派)国で,それぞれの国の言語が公用語となっていますが,旧ソ連の構成国だったこともあり,各国で都市部を中心にロシア語も広く通用します。また各国とも日本への関心が高く,外交関係樹立20周年を迎えた本年は,各国で様々な記念行事が開催されています。
出典:外務省:中央アジア~アジアと欧州が出会う場所

ロシアを中心として構成されていた旧ソ連構成国は、現在では15の国家に分かれて独立しています。
これらの国の中でも、ロシアやウクライナのように旧ソ連でも中心的な役割を果たしていたため独立後も一定の発言力を維持している国と、中央アジア諸国のように現在の経済規模は小さいものの、今後の経済成長が期待される国に2分されています。日本ではサッカーの親善試合くらいでしかメディアで目にする機会のない中央アジア諸国ですが、峻険な山間部に位置する国家群でありながら、それぞれの国には多様な特徴があります。それぞれの国の特徴を、主に経済と資源の面から見てみましょう。

ウズベキスタン

2011年のGDPは453億ドルと香川県の同程度の経済規模を持つウズベキスタンは、綿花栽培や地下資源の輸出による比較的順調な経済成長とは裏腹に、綿花の過剰栽培による重篤な環境破壊や、イスラム・カリモフ大統領の独裁とも言える強権的な政治体制など、様々な問題を抱えています。国際機関による調査では、人権侵害が著しいだけではなく、失業者や貧困層がかなりの割合で存在する典型的な新興国の1つにあげられています。

カザフスタン

ソ連崩壊に伴う独立後、カザフスタンは豊富な地下資源の輸出に頼ることで、経済規模を大きく発展させてきました。統計調査によると2013年のGDPは2,319億ドルと、島根県と同程度の経済規模を誇り、マレーシアと並ぶ中進国として位置づけられています。輸出の中心となっているのは豊富な埋蔵量を誇る原油資源であり、その他の鉱物資源も豊富な埋蔵量が確認されていますが、資源輸出に依存した経済構造からの転換が重要な課題にあげられています。

キルギス

中央アジア諸国の中でも珍しく天然資源の産出が少ないキルギスは、2013年でもGDPが74億ドルと経済規模の小さく、綿花やタバコを中心とする農産業と牧畜、金を中心とする天然資源の輸出が中心産業です。近年ではこれらの産業の他にも、冷涼な山岳地帯にあることを活用した観光産業の振興も進めていて、特にイシク・クル湖は著名な観光地となりつつあります。更に豊富な水資源を活かした水力発電による電力生産とその輸出にも力を入れていることでも知られています。

タジキスタン

2014年のGDPが92.4億ドルと経済規模の小さいタジキスタンは、2000年から2004年にかけて年率9.6%と非常に高い経済成長を記録した国でもあります。
しかし主な収入源はアルミニウム生産と綿花栽培、出稼ぎ労働者の仕送りと典型的な新興国の経済構造から抜け出せていません。特に出稼ぎ労働者の仕送りはGDPの3割を超える重要な産業であり、今後の経済構造の転換が望まれます。

トルクメニスタン

国土の8割を砂漠が占めるトルクメニスタンですが、2013年のGDPが408億ドルと比較的順調な経済運営を成し遂げています。順調な経済運営の原動力の中心となっているのが、天然ガスと石油を中心とする天然資源の輸出と、綿花栽培と綿製品の生産と輸出です。
特に天然ガスはイラン、ロシア、カタールに次ぐ世界第4位の17.5兆立方メートルの埋蔵量を誇り、輸出額のうち天然ガス、石油の占める割合は3割にもなります。この豊富な天然資源の輸出により、物価が低く抑えられているほか、電気や水道、ガスと言ったインフラが無料で提供されているなど、国民生活は経済規模以上に豊かであると言えるでしょう。

期待されるエネルギー資源と鉱物資源

明確な定義はありませんが、「地球上の存在量が稀であるか、技術的・経済的な理由で抽出困難な金属のうち、安定供給の確保が政策的に重要(経済産業省)」で、産業に利用されるケースが多い希少な非鉄金属を指し、構造材料へ添加して特性を向上させたり、また電子材料・磁性材料などの機能性材料などに使用されています。
出典:レアメタルの基礎知識 | NIMS レアメタル・レアアース特集

ここまで見てきたように、峻険な山岳地帯に位置しながらも、中央アジア諸国は比較的順調な経済成長を続けています。その大きな原動力となっているのが、豊富な埋蔵量を誇る各種の天然資源です。
原油や天然ガスをはじめとする各種鉱物資源は現代社会を運営するためには欠かせませんが、算出地域が限られている希少資源でもあり、中央アジアは主要な産油地帯である中東に次いで産出量の多い地域として知られています。

中央アジアの天然資源の中でも原油や天然ガスに代わる天然資源として近年特に注目を集めているのが、電子機器や省エネ製品に欠かせない希少金属(レアメタル)です。
電子部品や燃料電池など、先端産業に欠かせないレアメタルは、数年前までは中国が世界の生産量の大部分を占めていたため、自国の政治的要求を相手国に認めさせるための切り札としてレアメタルを駆使していました。
しかし中央アジア地域でのレアメタル資源の開発が進んだことや、技術開発によりレアメタルの使用量削減やリサイクル技術の確立により、中国産レアメタルの世界シェアは小さくなり、代わって中央アジア諸国から産出されるレアメタルが大きくシェアを伸ばしています。

日本の開発援助と中国の経済進出

特に天然資源の輸出で経済成長を続けている中央アジア諸国ですが、1国で賄うのが難しい巨額のインフラの更新と整備が数多くあります。そのため、順調に経済成長を続けているものの日本をはじめとする主要国にインフラ整備のための資金援助を求めています。
特に有力な資源輸出相手国である日本は資金援助に積極的であり、キルギスに対する資金援助のトップを日本が占めるなど、他の新興国援助以上の熱意を持って様々な援助を進めています。
2012年には中央アジア諸国との国交樹立20週年の節目を迎え、4回目の外相会談が行われるなど、資金面以外にも政治的な結びつきも強めつつあります。

これに対して、世界第2位の経済規模を持つ経済大国となった隣接する中国は、国有企業を積極的にインフラ整備に関与させることで経済進出を図りつつあります。国有企業の進出以外にも中国の経済進出の意図は強く、日米の参加をめぐって大きく取り上げられたAIIB(Asian Infrastructure Investment Bank = アジアインフラ開発銀行)は、政治的な意図はともかく巨額の費用を必要とするインフラ整備の支援を目的として設立されたことは、記憶に留めておくべきでしょう。

おわりに

このように、世界の中でも特に有望な天然資源の産出国である中央アジア諸国は、大きな注目を集めている地域の1つであり、隣接する中国をはじめとして世界各国から積極的な経済進出が進められている地域です。
歴史的経緯から比較的結びつきの強い日本も、注目するべき地域と言えるでしょう。

関連サイト

一般社団法人海外環境協力センター
中小企業国際化支援レポート